2025年8月、ミライラボバイオサイエンス株式会社の動向が業界関係者の間で話題となっている。8月1日の新製品「NMNプリズマセラム」発売と、その7日後となる8月8日のクレアシオン・キャピタルによる資本参加発表。この時系列から、同社の戦略的な事業展開が浮かび上がってくる。
技術融合による付加価値創出
新製品の特徴は、NMNとPLGA(乳酸/グリコール酸コポリマー)技術の融合にある。PLGAカプセルは平均約140 nmの微細粒子で構成され、DDS(ドラッグデリバリーシステム)の考え方に基づいて開発されている。医療分野で用いられるDDS技術のスキンケア応用は、同社の研究開発力を示す一例だ。
2剤式システムの採用も興味深い。使用前にポンプを押すことで、上層のパウダーが下層の美容液と混合される仕組みは、成分の鮮度保持という課題への独自のアプローチとなっている。
投資家が見た企業価値
クレアシオン・キャピタルは「健康寿命延伸を担う『日本の宝』への投資」という理念のもと、同社への資本参加を決定した。投資発表では、「高純度・高安全性・高信頼性・高安定性のNMN」の商品化と、自社研究設備による品質担保体制が評価ポイントとして挙げられている。
同社の事業は、サプリメント・化粧品・健康度郵送解析キット・研究用試薬等の製造販売、NMN研究及び知的財産取得、医療機関へのサポート業務という3つの柱で構成される。これら相乗作用が見込める多角的なアプローチが、単なる製品メーカーを超えた企業価値を生み出している。
経営体制の転換点
製品発売時の代表者・田中めぐみ氏から、投資発表時の代表取締役・清水宣明氏への交代は、投資実行に伴う経営強化の一環と考えられる。クレアシオン・キャピタルが掲げる「経営基盤の強化」「ガバナンス体制の向上」という支援方針との整合性が見て取れる。
蓄積された研究実績
同社の研究開発への取り組みは継続的だ。2022年10月の「世界初の臨床研究:点滴によるNMNの間歇的投与」、2023年7月の「国際科学誌への論文掲載:NMNがヒト血管細胞の炎症反応を効果的に抑制」など、科学的根拠の蓄積が進んでいる。
化粧品分野でも、2023年1月の「NMNプレミアムオーラルジェル」、2024年2月の「プレグシーヴ」と段階的な製品展開を行ってきた。今回の「NMNプリズマセラム」は、これらの経験と技術の延長線上にある。
具体的な成長支援策
クレアシオン・キャピタルの支援戦略は明確だ。マーケティング強化では「国内外の既存販路強化」「新規顧客開拓」、デジタル戦略では「EC事業強化による直販チャネル拡大」、経営基盤では「管理体制整備」「ガバナンス向上」が掲げられている。
既に同社は、公式オンラインショップ、Amazon、楽天市場、Yahooショッピング、海外向けECサイトと多チャネル展開を実現している。投資による支援がこれらの基盤をさらに強化することになる。
市場環境の追い風
NMN市場は「加齢に伴う体内NAD⁺低下を補う成分」として注目度が高まっている。超高齢社会の日本において、健康寿命延伸へのニーズは今後も拡大が見込まれる。同社の事業領域は、この市場トレンドと合致している。
戦略的タイミングの意味
製品発売から投資発表まで7日間という短期間での展開は、偶然とは考えにくい。新製品による技術力の証明と、投資による成長加速の準備が同時進行していたことを示唆している。
ミライラボバイオサイエンスの事例は、技術系企業の成長戦略として参考になる要素を含んでいる。研究開発の継続、製品の高付加価値化、そして適切なタイミングでの資本政策。これらが有機的に結びついた時、企業価値の向上が実現される。同社の今後の展開が、NMN市場だけでなく、日本の健康産業全体にどのような影響を与えるか、引き続き注目していきたい。
企業情報
ミライラボバイオサイエンス株式会社
本社:東京都中央区銀座1丁目14番4号 プレリ―銀座ビル5階
代表取締役:清水宣明
URL:https://www.mirailab-bio.com/
クレアシオン・キャピタル株式会社
本社:東京都港区赤坂9丁目7番1日 ミッドタウン・タワー37階
代表者:細谷耕一
本記事は2025年8月1日、8月8日のプレスリリースに記載された事実情報を基に作成
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