WONDER ENGAGEMENTプログラムによる人材活性化で次世代ビジネスモデルを構築
日本初の女性活躍促進プライベート・エクイティファンドであるDears CAPITAL有限責任事業組合(代表:倉増銀一)が、美容室チェーンを運営する株式会社TELA(代表取締役:白木澤良太)への第一号投資を完了した。この投資は、ESG投資の新潮流として注目される「女性活躍促進」を軸とした価値創造モデルの実証例として、投資業界から高い関心を集めている。
女性活躍促進PEファンドの革新性と投資価値
Dears CAPITALの設立は、日本の投資業界において画期的な意味を持つ。従来のPE投資が主に財務的リターンの最大化に焦点を当ててきたのに対し、同ファンドは女性活躍促進を投資テーマの中核に据え、社会的価値と経済的価値の両立を目指すアプローチを採用している。
この投資手法の革新性は、ESG投資の進化形として位置づけられる。単なる環境・社会・ガバナンス要素の考慮にとどまらず、「女性活躍」という具体的なテーマを通じて企業価値向上を実現する戦略は、投資業界における新しいベンチマークとなる可能性を秘めている。
特に注目すべきは、女性活躍促進が単なる社会的責任ではなく、企業の持続的成長と競争優位性確立のための戦略的要素として位置づけられていることだ。労働力不足が深刻化する日本において、女性人材の活用は企業の生存戦略そのものとなっている。
TELAの成長性と美容業界での差別化戦略
投資対象となった株式会社TELAは、2021年創業の若い企業ながら、美容室業界で顕著な成長を実現している。白木澤良太代表取締役は2013年に美容師としてキャリアをスタートし、わずか8年で起業に至った経歴を持つ。
TELAの差別化戦略は明確だ。「丁寧なカウンセリングで施術する美容室」というコンセプトのもと、激しい競争環境の美容室業界において継続的な出店と黒字経営を両立している。業務委託を活用した美容室チェーン運営というビジネスモデルは、スケーラビリティと収益性を兼ね備えている。
美容室業界は、技術者依存度が高く、人材の定着率向上が事業成長の鍵となる。TELAが「圧倒的な成長」を遂げている背景には、若く意欲的な幹部陣との強固な組織風土構築があり、これがDears CAPITALの投資判断において重要な評価ポイントとなった。
WONDER ENGAGEMENTプログラムの戦略的価値
Dears CAPITALが独自開発したWONDER ENGAGEMENTプログラムは、投資先企業の人材活性化と女性活躍推進を通じて企業価値向上を実現する包括的なエンゲージメント手法である。このプログラムの特徴は、投資前のデューディリジェンス段階から投資後の価値創造まで一貫したアプローチを採用していることだ。
WONDER ENGAGEMENT DDでは、経営陣のコミットメント、企業の存在意義とその発信力、組織文化や職場環境の整備など、多岐にわたる視点からの分析を実施する。これは、従来の財務・事業デューディリジェンスに加えて、組織・人材面での詳細な評価を行うことを意味している。
投資後の価値創造段階では、採用の仕組み化、教育体制の強化、上位職における女性リーダーの育成を支援する。特にTELAにおいては、エリアマネージャーやFCオーナーにおける女性活躍促進が成長基盤として位置づけられている。
スタイリストケア制度による持続可能な成長モデル
TELAの成長戦略で特に注目されるのが、スタイリストケア制度の導入である。結婚・出産・育児・病気など、人生の節目に寄り添うサポート制度の整備は、美容師という職業特性を考慮した革新的な取り組みだ。
美容師業界は伝統的に離職率が高く、特に女性美容師のキャリア継続が困難とされてきた。TELAのスタイリストケア制度は、この構造的課題に対する解決策として機能し、人材の定着率向上と技術力の蓄積を可能にする。
この制度の投資価値は明確だ。人材定着率の向上は採用・教育コストの削減につながり、熟練スタイリストの増加は顧客満足度と客単価の向上を実現する。結果として、持続可能な成長モデルの構築が可能となる。
美容室業界のDXと新業態展開の可能性
Dears CAPITALの支援により、TELAは将来的なIPOも視野に入れた新業態への進出を推進する。美容室業界におけるデジタル変革は、予約管理システムの高度化、顧客データの活用、オンライン教育システムの導入など、多岐にわたる。
特に業務委託モデルを活用したチェーン展開においては、標準化とカスタマイゼーションのバランスが重要となる。デジタル技術の活用により、各店舗の独立性を保ちながら、ブランド統一とサービス品質の維持を実現できる。
新業態展開の可能性としては、メンズ美容、ブライダル美容、訪問美容サービスなどが考えられる。これらの領域では女性スタッフの活躍機会が特に大きく、WONDER ENGAGEMENTプログラムとの親和性も高い。
ESG投資市場での位置づけと競争優位性
Dears CAPITALの女性活躍促進PEファンドは、ESG投資市場において独特のポジションを確立している。環境問題に焦点を当てたグリーンファンドや、社会課題全般を扱うインパクト投資ファンドとは異なり、「女性活躍」という明確なテーマに特化している。
この特化戦略の優位性は複数ある。第一に、投資判断基準の明確性により、案件評価の効率化と質の向上が期待できる。第二に、女性活躍促進という社会的ニーズの高さにより、LP投資家からの資金調達優位性を確保できる。第三に、投資先企業での女性人材活用により、実質的な競争優位性の構築が可能となる。
日本の女性労働参加率は先進国中で依然として低水準にあり、政府の成長戦略においても女性活躍推進は重要政策として位置づけられている。この政策的追い風により、Dears CAPITALのような専門ファンドへの期待は今後さらに高まることが予想される。
投資業界への波及効果と市場創出
TELAへの第一号投資の成功は、投資業界における新しい投資カテゴリーの確立を促進する可能性がある。女性活躍促進を軸とした投資手法の有効性が実証されれば、類似ファンドの設立や既存ファンドの戦略転換が加速するだろう。
特に、人材依存度の高いサービス業における投資機会の拡大が期待される。美容業界以外でも、介護、教育、小売、飲食などの分野で女性活躍促進型の投資案件が創出される可能性が高い。
また、LP投資家の多様化も進むことが予想される。ESG投資への関心が高い機関投資家に加え、女性経営者やダイバーシティ推進企業からの投資需要も期待される。これにより、投資資金の新しい供給源の開拓が可能となる。
ガバナンス体制と持続可能性の確保
Dears CAPITALの投資アプローチで注目すべきは、投資後のガバナンス体制における女性活躍促進の組み込みである。従来のPE投資では、財務面での管理体制構築が中心となってきたが、同ファンドでは人材・組織面でのガバナンス強化も重視している。
TELAにおいては、エリアマネージャーやFCオーナーという重要ポジションでの女性活躍促進が、事業成長と直結する構造となっている。これにより、ESG要素が単なる付加価値ではなく、ビジネス戦略の中核となる。
持続可能性の確保という観点では、WONDER ENGAGEMENTプログラムの継続的な改善と他企業への応用可能性が重要となる。同プログラムが汎用的なフレームワークとして確立されれば、Dears CAPITALの投資プラットフォームとしての価値は大幅に向上する。
今後の展望と投資機会
短期的には、TELAの出店加速と新業態展開により、美容室業界での女性活躍促進モデルの確立が期待される。中期的には、同モデルの他業界への展開と、Dears CAPITALの追加投資案件による実績蓄積が進むだろう。
長期的には、女性活躍促進PEファンドという投資カテゴリーの確立と、関連する投資エコシステムの形成が見込まれる。これには、専門的なデューディリジェンス会社、人材育成支援サービス、女性活躍促進コンサルティングファームなどの発展も含まれる。
投資機会としては、Dears CAPITALの後続ファンドへの投資、類似ファンドの設立、女性活躍促進関連サービス企業への投資などが考えられる。また、TELAの成長に伴うバリューアップ投資や、IPO時のパブリック投資機会も期待される。
まとめ
Dears CAPITALによるTELAへの第一号投資は、日本の投資業界における新しい投資パラダイムの始まりを示している。女性活躍促進を軸とした価値創造モデルは、社会的価値と経済的価値の両立を実現する具体的な手法として、今後の投資戦略のベンチマークとなる可能性が高い。
美容室業界という身近な領域での実証により、同モデルの他業界への応用可能性も広がっている。WONDER ENGAGEMENTプログラムの成果と、TELAの成長実績は、投資業界全体にとって重要な参考事例となるだろう。
ESG投資の進化形として位置づけられるこの取り組みは、投資家にとって新しい収益機会の創出と社会的意義の実現を両立する、真の意味でのウィンウィンモデルの確立を目指している。今後の展開が注目される。
企業概要
株式会社TELA
- 代表取締役:白木澤良太
- 所在地:千葉県木更津市大和1-4-7イーストワン1F
- 設立:2021年
- 事業内容:業務委託を活用した美容室チェーンを運営
- URL:https://telahair.jp/
株式会社Dears CAPITAL
- 代表:倉増銀一
- 所在地:東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー13階
- 事業内容:女性活躍促進プライベート・エクイティファンドの運営・管理
- URL:https://dearscapital.jp
本記事は2025年4月1日のプレスリリースを基に作成
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